かべのこ 6
「………ァ」
「………ゥァ」
暗い牢屋の中で乾いた声が漏れる。
消え入りそうな小さな声が…
チャリ!チャリ!
動きに合わせて手枷の鎖の音が響く。
小さな箱の中でのさらに拘束されている。
声を発するのは「肉」の奴隷をするときだけ…
言葉を知らない自分が声を発するのは、自分の意思とは無関係なときにだけ…
「おらっ!」
「………ァゥッ」
行為の途中に男は乱暴に髪の毛を引っ張る!
あまりの痛みに声が漏れる。
「お前のせいで俺はなぁ!!!」
「ウァアァ!」
怒号を飛ばしながらさらに髪の毛を引っ張る!
ブチブチブチブチッ!!!
「アグゥアアアァァ!」
自分の頭部に激痛が走るっ!
あまりの痛みに両手を抑えつける!
本能的に男から遠ざかる!
「な・に・逃・げ・て・ん・だ」
冷たい声が耳に入る!
「・・・・あ」
細い腕…細い足を男に掴まれ再び引きずり込まれていく。
「貴様は物だ!物が人様に逆らうとどうなるか教えてやる!」
ほくそ笑んだ声を浴びせる男。
…何が間違っていたの?
…何がダメだったの?
…何が…いったい?
痛みを与えられる原因は…?
身体の外の痛みと身体の中の痛みを味わいながら、どうすれば良かったのかを考える。
終わらないサディストの時間の中で…そして
…トクンっ!
かべのこの中ではじめて感じた…
小さな…とても小さな…心の痛み
〜続く〜