かべのこ18
黒い穴が膨張する!全てを飲み込むような巨大な穴に成長する!
煌びやか外の世界を!美しい世界を!魔法の国を!
漆黒の闇が全てを包み込む!
沢山の黒い化物たちが何匹も何匹も穴から飛び出してくる!空を覆う黒の軍団!
その絵図らは凶々しく!脅威に満ちていた!
リゼの化物への移植が漆黒のトリガーとなり、憎悪を爆発させた!
手枷の鎖を断ち切り!足枷の鎖をぶち破り!化物となったリゼは無数の黒の軍団に混ざって外の世界に飛び出す!
化物達は破壊を開始する!積年の怨みを晴らす!
その行動は凶悪で卑劣でまさに地獄絵図のように・・・
山や木々からは動物が叫び逃げ惑い!街は燃やされ人間の断末魔が泣き叫びより多く響き渡る!
血液が雨上がりの水たまりのように広がり、肉片がその辺の石ころのように転がる。
その水たまりを踏みにじり、石ころを蹴飛ばす。
白から黒へ!日常から地獄へ!生から死へ!
時間はゆっくりと流れていくのに、破壊への時間は濁流のように恐ろしいスピードで流れていった!
化物になったリゼも破壊行動を続ける!
リゼの心とは裏腹に破壊行動を続ける!
(・・ヤ・メ・・・テ・・)
(・・コワ・サ・・ナイ・・デ)
化物となったリゼは完全に黒く乗っ取られていなかった。
消えゆく「リゼ」という自分の心が少しだけ、ほんの少しだけ残っていた。
たが、どんなに訴えてもどんなに願っても、自分の身体なのに!黒くなっても自分の身体なのに!破壊を止めてくれない!
こんなの、もう見たくない!
こんなの、もうしたくない!
奴隷だってなんでもするから!
地獄な日々だって耐えてみせるから!
優しい女の子のリゼ。汚れても踏み潰されても優しいリゼ。
「・・・あっ・うぁっ」
(!)
破壊された街から逃げ遅れた女の子。
自分の黒い身体に小さな女の子がしがみついてきた。呻き声をあげながら、その力は微弱で震えていて・・・
「もうやめてー!」
(モウヤメテー!)
「もうこわさないで!もう…」
(モウコワサナイデ!モウ…)
「殺さないでー!」
(コロサナイデ!)
・・・リゼの心が壊れた
〜続く〜