かべのこ 11
昔、あるところに平和な魔法の国がありました。
魔法の国ではみんな生まれた時に魔法を1つ授かります。その魔法を使ってみんなで協力しながら暮らしているのです。
ある日魔法の国に女の子が生まれました。
女の子の名前は「リゼ」
リゼは、お父さんとお母さんに愛情に包まれながら育っていきました。
しかしリゼは、ある日を境に魔法の国で忌み嫌われてしまうのです。
その理由は魔法。
リゼの魔法はこの国では役に立ちませんでした。
役立たずはいらない。
リゼは魔法の国で生贄に選ばれてしまいました。
娘の命を守ろうとお母さんは必死で守りました。
お母さんは必死で守りました。
お母さんは必死で…
・・・・
お母さんは…
しかし、リゼの目の前でお母さんは無残にも殺されてしまったのです。
刃を突き刺されたお母さん。
生暖かいお母さんの血を浴びたリゼは、冷たくなっていくお母さんの身体を全身で感じ、全身でお母さんの死を感じました。
「お母さん!お母さん!!」
涙が止まらないリゼ。
絶叫にも近い声でお母さんを呼びますが、お母さんは動いてくれません。
自分の代わりに亡くなったお母さん。
涙でぼやける瞳の先に見えたものにリゼは呟く。
「オトウサンドウシテ?」
そのときリゼは記憶に蓋をしました。
思い出さないように…思い出せないように…
オモイダサナイヨウニシテタノニ…
記憶の蓋は一気にこじ開けられる!
「いやあぁアァあぁッっ!!!!」
そして、かべのこは思い出した。
血塗られた悪夢の記憶を…
〜続く〜