kiyoharaのブログ

巨人もそれ以外も、おもしろおかしく楽しく伝えれたらと思ってます。

かべのこ 10


「・・・・」


「・・・・んっ」


気を失っていたのだろうか?

横たわっていた身体を起こして目を覚ましたかべのこ。


一体何が起こったのか?

いきなり黒い穴から黒い腕が伸びてきて自分の腕を掴んだ。そして穴の中へ引きずり込んだ。


周りの状況を確認する為にキョロキョロと辺りを見回す。


(・・・黒い)


かべのこの周りの景色は全てが黒かった。

暗いなどではなく黒。全てを飲み込むような漆黒。

まるで暗闇の箱に閉じ込められたみたいに…



「目が覚めましたか?」



背後から声がする、どうやら自分へ語りかけてきたのだろう。かべのこは声のする方へ振り向いた。


「!」


…化物がいた


黒い闇の中に黒い化物がいた。

黒い空間にいるはずなのに、その黒い化物ははっきりわかる。


「・・・アッ」


思わず声が漏れる。全ての感情を遮断してきたかべのこだったが、あまりの衝撃に思わず後ずさる。


「あなたを待っていたのですよ…あなたが来るのをずっと待っていたのですよ」


かべのこをよそに黒い化物はかべのこに語りかける、冷たい声が黒い空間に響く。


「・・・・」


…この声…嫌じゃない


化物の声の内容は理解できない。

でも、どうしてだろう…かべのこには化物の声に不思議な温もりを感じていた。


「あなたは心を閉ざして生きてきましたね。とても辛く苦しい日々を生きてきましたね」


「今から、あなたの呪縛を解いてあげます」


そう言うと化物はかべのこの頭にそっと黒い手を乗せた・・・




「いやあぁアァあぁッっ!!!!」



断末魔をあげるかべのこ!


黒く閉ざされていたかべのこの頭の中の記憶が開かれる!

全ての点が一気に線になる!その衝撃が一気に脳の中を駆け巡っていく!


・・・それは



























トテモ…トテモ…ツラクテ…オソロシイ…キオク


〜続く〜

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